製薬会社におけるデータ取得・レポート作成業務の自動化

  • 支援対象:某大手製薬会社様
  • 支援期間:約3カ月

売上実績やマスタなどのデータ取得、および、日次や週次などの各種レポート作成は、手を動かして作業することの多い定型業務であるため、自動化によって時間短縮と品質向上を同時に実現させやすく、生産性の向上が期待できます。
自動化による業務効率化は、考える業務に時間の配分をすることが可能となってくるため、今までよりも戦略的な方針への舵を切りやすくなることから、革新的な体制の構築も検討できるようになります。

自動化による業務効率化によりコスト削減をする

某大手製薬会社様では、営業企画系の部門で、日次で製品売上や日報情報などに関するレポートを作成しており、各ファイルのダウンロードやデータ加工、 転記レポート 作成のような定型業務に相当の工数を割いていました。

業務効率化を進める製薬業界の背景

製薬業界の現状は、国内医療費は増加傾向にあり、2016年は過去最高の42兆円に達したと報道されております。
医療費が高騰する一因として、高額な新薬の薬剤費が取り上げられております。近年、政府は医療費の高騰を抑制するため、新薬(先発医薬品)の2~5割程度の価格であるジェネリック(後発医薬品)へのシフトを主導しております。

新薬を手がける製薬企業は、ジェネリックへのシフトが継続することで、売上への影響が大きくなってきたことを受け、コスト削減への取り組みを強化することになりました。

コスト削減の一貫として、定型業務の自動化を行うことで、業務効率化を実現させ、利益を生む活動への業務に注力できる体制の構築を目指すこととしました。

業務プロセスの整理から業務の自動化へ

各業務を自動化していくために、対象としたい業務の全体量を把握しておく必要があります。
このため、以下のステップで自動化への取り組みを進めることに致しました。

  1. 現在の作業担当者へのヒアリングによる全業務の洗い出し
  2. 洗い出した業務の重要度、緊急度から自動化を優先する業務を整理
  3. 優先度に従って対象業務の作業手順書のドキュメント化
  4. 自動化のベースとなる仕組みの検討および設計、開発
  5. 作業手順を自動化する処理の作成

現在の作業担当者へのヒアリングによる全業務の洗い出しにて洗い出した業務を整理した結果、約700レポートが抽出されました。そのため、フェーズ1として、自動化のベースとなる仕組みの開発、および、作業手順を自動化する処理を約100レポート対象にして、2ヶ月で実施することと致しました。

自動化する業務の整理

自動化の対象となる業務は、Web系の業務システム化には向かない以下のような作業が中心となります。

  • ブラウザ経由でシステムからデータファイルをダウンロードする作業
  • いろいろなデータソースをExcelに集約・加工してレポートを作成する作業
  • ExcelでのグラフをPowerpointに貼り付けてレポートを作成する作業

共通しているのは、製品別や組織別、期間別などの切り口にて、データ集計や加工を繰り返し行っている作業で、業務改善の効率化においては、着目すべき点となります。

システム化する上での工夫

ツール化して自動化する上で、システム的な観点での工夫も取り入れました。

  • 処理の共通化(InternetExploreやExcel、Powerpointの各種制御など)
  • 各処理のインプット項目の汎用化
  • プログラムソースのコメントを活用したシステムドキュメントの自動生成

1つの業務では、年間75日分の作業時間削減効果

改善効果が高かった業務では、年間75日分の作業時間削減を実現しました。
基本的には、自動化に移行できた業務は、すべて作業時間の削減が実現できております。

その中でも、自動化による改善効果が高かった日次作業の「市場自社売上推移レポートの作成業務」の例をご紹介します。

作業手順 改善効果
  1. 外部提供のWebシステムから市場売上データを1製品ずつ条件設定し、ダウンロード。これを複数回繰り返す。
  2. 自社Webシステムから自社売上データを1製品ずつ条件設定し、ダウンロード。これを複数回繰り返す。
  3. 共有フォルダからレポート用製品マスタをコピー。
  4. 上記手順で取得したデータを1製品ごと加工集計してレポート作成
  • 手作業:2時間30分/日
  • 自動化:15分/日

年間75日分の作業時間の削減に寄与

加えて、別のパソコンで自動化の処理を実行しており、15分/日についても業務削減することができました。

業務効率化の際に自動化が可能であっても、適さないケース

最後に、自動化が可能であっても、適さないケースについても上げますので参考にしてください。

  • 手作業のほうが効率的である場合
  • 短期間に作業手順の変更が発生する可能性がある場合
  • 実装に時間を要する割に効果が薄い場合